方法への挑戦―科学的創造と知のアナーキズム
序章 知のアナーキズム
知のアナーキズムは科学の進歩に役立つ、人間主義思想だ。
科学者は各分野の伝統的な方法論(ルール)に固執しがちだが、世界は決まったルールで解明できるほど単純ではない。
偉大な先人たちがルールの押し付けに反抗してきた。レーニンは「革命家はあらゆる事をあらゆる場面でせよ」、アインシュタインは「科学者は無節操であれ」と言っている。
ルールを強制する学校教育は、一定水準の知識層を量産するための洗脳なのだ。だが、そうしたつまらない人間が多数派を占めたとたんに科学の進歩は止まってしまう。例えば物理学者に神学を禁止したり、ユーモアを禁止したりすれば発想が画一化し進歩が止まってしまう。
科学を進歩させたいなら、あらゆるルールは放棄すべきだ。なぜなら第1にどんなルールにも例外はあり、第2にルールの押し付けが個性を潰すからだ。
これが、知のアナーキズムが科学の進歩に役立つ理由である。