1章 人間の成長による発見
どのような科学のルールもある日それが通用しなくなって破綻する。
- 原子論
- コペルニクスの地動説
- 原子運動論
- 電磁気学
- 相対性理論
- 量子論
これはルールによる束縛からの解放であって、科学の進歩に必須である。このとき、旧ルールとむしろ矛盾する新ルールが導入され、科学の反帰納的進化がおこる。
このとき、旧ルールを前提としたロジックむしろ視野を狭め、進歩を阻害する。旧ルールに固執する人々は一見理性的なように見えて、物理的なロジックの反復によって旧ルールから逃れられなくなっているにすぎない。
新ルールの登場をもたらす出来事は、人間に非連続な成長を促す。物理的破壊・戦争・道徳の崩壊・革命などが起こると、心理的に旧ルールの束縛力が弱まり、新ルールの採用に傾くのである。
逆に、旧ルールの保持を促す出来事というものはあまりない。出来事というより、よく訓練されたペットのような「合理主義者」たちの心理が旧ルールを支えている。彼らは政治的に刷り込まれた反復的訓練の結果を、「理性の声」と思い込んでいたりする。
新ルールは、行動から創造される。子供が理解不能な単語を弄びながら理解を深めるように、まずは科学者に衝動的で非合理的な戯れにも近い行動が起こり、その行動が状況を想像し、それを合理的に説明する観念を創造するのである。例えばガリレイは地球が動いているという強固な信念を持って行動するうちに、望遠鏡や慣性の法則に出会う。そのように集まった証拠を説明する観念として地動説が誕生するのだ。しかも、これは例外的なケースではなく、全ての科学的進化を説明する典型的な例なのである。
このように科学的進歩は弁証法的プロセスと言える。
また、このアナーキズムのプロセスは、進歩がどのように定義されたとしても、その進歩を助ける。
人類のあらゆる状況、あらゆる段階において擁護できる原理はただ一つ、「anything goes(なんでもよい)」である。