隷属への道

1章 個人主義=悪という信念の起源

我々は隷属して生きている。何かの巨悪がそうさせたのか?巨悪は我々である。我々の信念が実は誤りであり、裏目に出て今日の隷属状態を生んでいる。

その信念とは、

「個人主義=悪」

という信念である。

商業の発展は人々を自由にし、階級制度を崩壊させた。自由主義により豊かになった人々は、しかし、自由主義に飽きた。自由主義は富の増大しかもたらさなかったから。富が増大しても、まだ地球上に不幸は山積みであった。

富を使って、これらの不幸を無くすべきではないのか。

これが、個人主義=悪という信念の始まりだった。

科学の時代だった。科学では、古い考えは常に誤りだ。だから人々は古い考えであるという理由で自由主義も誤りだと考えてしまった。そして、社会主義思想がドイツから世界に広まっていった。それは人々の目には、あたかも大英帝国の思想的支配からの解放のように映ったのだ。

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