隷属への道

11章 思想の国有化

次に思想が国有化される。

  • ゲルマン人は優秀
  • 農民出身は優秀な兵士になる
  • 集産主義は自由である

といった思想は国が喧伝するものであり、究極的には真偽さえも国が決める。このような思想統制で社会をひとつにまとめようと言う考えは、プラトンの「高貴な嘘」理論にまで遡る。

(※日本人は精神力に優れ大砲を打つ腕が10倍良いからアメリカ軍の10分の1の大砲でいい、と言い放った東條英機が思い出される)

知能の低い人間は洗脳し、高い人間は弾圧する。相対性理論はユダヤ人によるゲルマン人への攻撃とされた。統計学はブルジョワジーがプロレタリアートを階級固定化する道具とされた。チェスのような娯楽でさえ、社会のどんな目的に奉仕しているか説明することが求められた。つまり集産主義とは反知性なのだ。だから集産主義は世界中で知識人を迫害した。

(※あらゆる研究活動は企業の利益にならなければならない、と考える企業があるとしたら、これに近い誤りを犯していますね。「科学は真理のために奉仕する。」)

こうして個人の思想の自由を奪うことで、集産主義は個人の思想を国家の思想として受け入れるようになる。

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