隷属への道

13章 イギリスの集産主義化

1944年現在イギリスが、ドイツと同様集産主義への道を辿ろうとしている。

カー教授は、革命を起こし、社会と国家を融合して、貿易を廃止して自給自足を実現し、ドイツとソビエトに続こうと叫んでいる。

一部の科学者は科学理論が道徳にも展開できると思い込み、唯物史観の証明や、全体主義的組織化に腐心している。

また、社会の階級化を試みる人々も出現した。

資本家が独占を進めていることも問題だ。彼らは競争社会の恩恵を被って富を得たのに、短期的な視野から、富だけでなく地位の保障も得ようとしているのだ。しかし、そのような保障は集産主義でしかない。国家は独占体の運営ではなく、自由競争の維持をする必要がある。本来は労働者が団結して独占に反対すべきなのに、もはや労働運動は機能せず、独占の共犯となっている。

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d.b