隷属への道
4章 計画経済 < 市場経済
テクノロジーによって競争が不要になった、というのは嘘だ。1941年の調査では、大企業の生産性と中小企業の生産性は同程度であるという結論が出ている。テクノロジーが競争を激化させたので、中小企業にも勝機が生まれたわけだ。
テクノロジーが未発達だと逆に寡占が進む。例えば1880年時点では、ドイツとアメリカは比較的後進国であった。ドイツとアメリカは政府主導の保護主義的政策をしいた。
競争主義社会では、テクノロジーの出現によって分業が生じ、価格調整機構が働くことで、膨大な情報が最適化されるのである。このような情報処理は計画経済には不可能だ。
もう1つの計画経済理論は、保護政策によってイノベーションのインキュベーション環境を維持するという理論である。確かに国民が新技術を画一的に強制されることで凄まじい発明が生まれる可能性はある。例えばドイツやイタリアの高速道路は見事である。
ただ、私はそれがたとえ真実だったとしても、選択肢の1つであって強制されるべきではないといいたい。知識階級は、未来の技術が見えてしまうから、熱烈な計画経済の信奉者になりがちだ。しかし理想の数は多すぎるので、計画経済のもとでは互いに衝突し合う。
つまり、市場の持つ「相互調整」作用は、いかなる専門分野とも本質的に逆なのだ。ゆえに、全体最適化のためには専門家に計画経済をさせてはいけないのである。
考察
中国など政府が強い国では、科学研究に注力すると決めると一気にリソースが投入され短期間に進化する。ディープラーニングがそうだ。
日本政府もかつては強権的であり、すぐれた新幹線などが生み出されていた。