隷属への道

6章 独裁 < 法律

結局計画経済は独裁者が恣意的に政治をするからダメになるのである。それは、どんな個人の能力にも限界があるからである。

我々は、人ではなく法による統治を提唱する。法のもとで、人は他のプレイヤーの動きを予測することができ、競争が促進される。そのために、法には時間や状況に左右される要素を含めてはならない。時間や状況の判断は個人の方が得意なのだから、各個人の自由に委ねるべきだ。そのため、必然的に法による統治の結果は予測がつかないものとなるがそれでいい。なぜなら法による統治の第一目的は自由競争を担保することだからだ。

法による自由競争の担保の対極にあるのが、計画経済である。計画経済は個人の自由を制限する。例えばウェルズの「人権宣言」では、あらゆる条項が条件付きである。例えば「売買は自由である」という項目のあとに、「公共の福祉に反しない限り」と無効にする文言が続く。実際に公共の福祉に反するかどうかは極めて曖昧で、絶大な権力を委譲された委員会が決める。だから、個人に実際には自由は無いのだ。

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d.b