欲望のメディア

4章 (最終章)

【要約】欲望のメディア【猪瀬直樹】

第4章 ※最終章。あとがきに近く、かなり短い

【1994年時点では明るい未来は見えない】

技術的な進化としては、人工衛星による衛星中継は大西洋を跨いだ中継という不可能を可能にした。有線テレビ(CATV)はチャンネル数や画質の無制限な増加を可能にした。しかしアメリカなら広大な土地があるから必要だったものの、日本ではそうでも無い。

衛星中継が可能にしてしまったのは、社会主義国の情報統制であった。ルーマニアで、韓国で、電波による文化侵略が問題視された。北京の天安門事件の情報は上海に伝わらないよう遮断されていたが、実はいいホテルに泊まれば衛星放送で情報を得られた。台北や韓国ではNHKの衛星放送を受信するためのパラボラアンテナが林立している。まだ日本文化は韓国でタブーであり、NHKでヨーロッパ番組を見ている、などの言い訳が必要な時代だ。妨害電波を出せなどの意見が普通に見られる。

CATVが普及しない日本での次を目指そうとしたスカイポートは郵政省に潰された。結局は天下り官僚を受け入れた企業が勝った。日本は社会主義国だ。レーニンもヒトラーもマルコスもチャウシェスクもテレビを使って国民を洗脳しようとした。それは植民地の統治においても同様だ。アメリカは日本を植民地とみなし、アメリカ企画の機材を普及させた。そのことが、メイドインジャパンのテレビがアメリカに輸出され席巻する事態を招いてしまった。

テレビが実用化されてしまうと、人々は夢から醒めてしまった。結局はテレビが普及して、我々の生活の画一化が進んだだけだ。番組の時間割も固定化し、押し付けの学校給食のよう。番組も政府に忖度しつまらない。

ハイビジョン礼賛。 (※ここらへん、Netflix世代から見ると何言ってんの?という感じ) 次はソフトだろう。 (※ここらへん、Netflix世代から見るとそうだね、という感じ)

最後に宮崎勤批判。テレビを保護者として育ったものが作る闇の世界を描いて完。猪瀬直樹はネット社会の到来を感じ2010年にツイッターを始め炎上もしたがNetflixを見ているかは不明である。

「ミカドの肖像」「土地の神話」「欲望のメディア」3部作、完。

(終)

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